ハーフタイム 租税回避とタックス・プランニングの職業倫理

( 27頁)

節税~租税回避~脱税の間にブライト・ラインを引くのは難しく,租税回避を否認する法的根拠や慣行は国によって異なる。わが国では通常,租税回避はタックス・プランニングやタックス・シェルターなどと同列に扱われ,"通常の税金以下に税金を削減すること"と理解されている。また,節税は租税法規が予定しているところに従って税負担の減少を図る合法的な行為であり,脱税は「仮装隠ぺい」によって課税要件が成立している事実を不正に隠す犯罪行為と定義されている。ところが米国における租税回避は"ナショナル・スポーツ"だとか,脱税との差は"牢の壁の厚さの違いだけ"と,揶揄されている。英国では,タックス・プランニングは20億ポンドの"ビッグ・ビジネス"であり,それによって税引き後利益を最大化し投資利益率(ROI)を引上げるのは経営者にとって当然と見なされていた。ところが,先の金融危機以来,租税回避は社会的に容認できない行為であり,タックス・プランニングを脱税に近い行為とみるように変わった。租税回避による税収減→社会福祉費などの公共支出削減→リセッション→失業を生む連鎖関係が大衆に知れ渡ったからだ。結果として,富裕層への租...