グループ会計の論点シリーズNo.4 パーチェス法から取得法へ(Ⅰ)

フジタ国際会計コンサルティング(株) 代表 藤田敬司

( 22頁)

はじめに:なぜ米国基準を先行モデルとみるか

これまでのシリーズNo.1~3回(本誌No.3259,3261,3264)を踏まえ,今回からいよいよグループ会計の核心部分に入る。ここでは米国基準を中心に検討するが,それは下記図表1が示すように,IAS22(2001),IFRS3(2004)及びわが国企業結合会計基準の先行モデルとなってきたからである。しかも,米国の連結会計基準はあくまでも過半数基準にこだわる頑固一徹の形式基準だったが,SFAS141R(2007)は,現実と実態重視のプラグマティズムと資産負債の定義を両立させている。まずSFAS141は持分プーリング法を禁止し,パーチェス法に一本化するとともに,無形資産会計基準SFAS142と(公開草案の段階からワンセットで検討され)同時に設定された。それから僅か7年後に改訂されたSFAS141R(2007)はパーチェス法を取得法(acquisition method)に改め,M&A取引の実態をより良く反映するよう公正価値測定の対象を広げた。その結果,のれんやその他無形資産を含めて,取引意図や経済実態をより良く報告するように入念に工夫されている...