シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第13回 金融商品の認識の中止
慶應義塾大学商学部 教授 西川郁生
木村太一君 金融商品では認識の中止は難解な領域と聞いています。
教授 まず,用語の確認ですが,認識の中止は,日本基準では「消滅の認識」といいますし,一般用語として「オフバラ(ンス)化」ともいいます。いろいろな言い方がありますが,ここでは全て同義として話を進めましょう。認識の中止は会計的に議論の多い領域です。
木村君 オフバランス化が認められるかどうかで,B/S上の資産効率や自己資本比率などが違ってくるからですね?
教授 そうですね。財務指標の改善には,利益(フロー)の拡大と資産の圧縮が期待されます。会計基準を巡って,認識の中止の扱いに関しては,作成者は,オフバランスを広く認めてほしいという立場をとることが多いですね。
認識と認識の中止の論点の所在
木村君 金融商品について,認識より,認識の中止の方が,なぜ論点が多いのですか?
教授認識の裏返しが認識の中止なので,考察を始める前は,認識の中止について特段の規定がなくても認識の規定から解釈できそうに思えますね。金融商品についてそうならないのは,譲渡に譲渡人の意図が働くからです。譲渡人が例えば債権者であるとしたとき,当事者の間では金利の支払いを受け,満期に元本を受...
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