シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第14回 ヘッジ会計
慶應義塾大学商学部 教授 西川郁生
木村太一君 今回も金融商品会計が続きますか?
教授 金融商品会計の最後にヘッジ会計の議論をしましょう。まず,企業のリスク管理活動とヘッジ会計の意義について考えましょう。
リスク管理活動とヘッジ会計
教授 企業は,保有する金融資産や金融負債の公正価値(FV)の変動リスクやキャッシュフロー(CF)の変動リスクに晒されています。そこでそれらの変動による影響を減殺して一定範囲に抑えようという行動をとることがあります。例えばFVの変動リスクに関し,ある金融資産(ヘッジ対象)について,FVが逆方向に動くデリバティブ(ヘッジ手段)を取得するなどの手法です。外貨建債権の外貨額は期末に直物レート(FV)で換算替えされます。これに対するヘッジとしての円買外貨売の先物取引や先渡契約の直物要素もFV測定されるので期末までのFV変動の影響が抑え込まれますね。ところで,この例ではヘッジ会計は適用されていますか?
木村君 損益への影響が自然に相殺されているので,特別なヘッジ会計は適用されていないと思います。
教授ヘッジ手段はデリバティブなどですから一般にFVPLの会計処理となり,ヘッジ対象もFVPLであれば,特別の会計処理を考えなく...
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