連結納税・税効果入門 連結法人税計算のしくみと税効果会計 第3回 連結欠損金及び地方税の取扱いについて

小川哲也公認会計士・税理士事務所 代表 小川哲也

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今回は,連結納税に係る税効果会計を理解するうえでも重要な論点となる連結欠損金及び地方税の取扱いについて解説していきます。

1.連結欠損金

①連結納税開始・加入後に発生する連結欠損金

連結欠損金は,9年間繰り越し,各連結事業年度の連結所得から控除することができます。連結親法人が中小法人等である場合を除いて,控除限度額は各連結事業年度ごとに連結所得の60%相当額とされています。なお,平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度において生ずる連結欠損金については,繰越期間を9年から10年に延長することとされています。また,連結所得に対する控除限度割合は,平成29年4月1日以後に開始する連結事業年度から段階的に引下げられます(法81の9①,附則 平成27年法律第9号法30)。

②連結納税開始・加入前に発生した欠損金

連結親法人連結納税開始にあたって連結欠損金とみなされ,連結納税開始以後の連結事業年度の連結所得から控除することができます(法81の9②一)。特定連結子法人(※)連結納税開始・加入にあたって連結欠損金とみなされますが,繰越控除を行う連結事業年度の当該連結子法人の個別所得を上限として連結所得から...