シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第16回 投資不動産
慶應義塾大学商学部 教授 西川郁生
木村太一君 今回は何を取り上げますか?
教授 金融商品との類似性を考える意味で投資不動産を取り上げましょうか。
木村君 IAS第40号ですね。
教授 日本とIASBの考え方の違いと思われるものや日本基準の賃貸等不動産との関係に言及していきましょう。
IAS第40号の時代背景
教授 IAS第40号が公表されるまでは,すべての不動産は有形固定資産の会計基準で扱われてきましたね。そこで何が起こったかというところから始めましょう。
木村君 IAS第40号によって投資不動産という新しいカテゴリーが設けられ,従来取得原価(又は再評価)と減価償却からなる伝統的な会計処理に対して,FV測定が導入されました。
教授 それを資産負債アプローチという切り口から考えましょう。
木村君 以前,資産負債アプローチには複数の解釈があると聞きました。IAS第40号の資産負債アプローチは,B/Sに示される資産負債の現在価額が,企業価値評価において有用な情報となるという考えではないでしょうか?
教授的を射ていると思います。利益のあり方はひとまず横に置き,B/S情報の有用性を第一に考えるということですね。IAS第40号が公表された1990年代終盤の時代背景...
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