Q&Aコーナー 気になる論点(182) のれんの事後測定の議論(1)

‐FASBによるのれんの減損の簡素化‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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米国財務会計基準審議会(FASB)は,2017年1月26日に,会計基準更新書(ASU)第2017-04号「無形資産‐のれんとその他(Topic 350):のれんの減損テストの簡素化」を公表しています。これにより,国際会計基準(IFRS)とコンバージェンスしたのでしょうか。

A:

ASU第2017-04号では,のれんの減損における2段階テストを廃止することにより,IAS第36号「資産の減損」に示されている1段階の定量的な減損テストと,密接に整合するガイダンスになっています。ただし,IAS第36号では,報告単位ではなく資金生成単位(CGU)又はそのグループのレベルで,また,公正価値ではなく回収可能額との比較が行われます。

<解説>

米国基準におけるのれんの減損(1)‐2段階テスト

ASU第2017-04号の内容にはいる前に,これまでの米国基準におけるのれんの事後測定を確認しておきましょう。FASBは,2001年6月に財務会計基準書(SFAS)第142号「のれん及びその他の無形資産」を公表し,のれんの償却+減損モデルから,減損のみのモデルに変更しています。その後,のれんの事後測定は,コーディフィケーシ...