書評 間島進吾・石橋武昭・志目健二 著『IFRSプロフェッショナルマニュアル』

(中央経済社刊/本体5,000円+税)

横浜国立大学成長戦略研究センター 客員教授・公認会計士 五十嵐 則夫

( 35頁)

日本のグローバル企業が増加するにつれ,IFRS親会社及び各国子会社の業績比較および競争企業との業績の比較可能性並びに経営管理の向上を目指して日本企業のIFRS採用は増加している。IFRSはグローバル基準であり,異なる文化・環境国にも適用するので,必然的に原則主義に基礎をおかざるを得ない性格を持つ。この事は,グローバルで多様な契約・取引をすべて包含する詳細な規定を持つ基準を開発できない可能性を意味し,IFRS財務諸表作成又はその監査(保証)において経営者又は監査人は高度な判断を必要とする。

本書はIFRSについて,会計の基本的思考を基盤として,重要事項を網羅的かつ体系的に記述している。

主な特徴は,第一に,執筆者の中に米国大手会計事務所に約30年間勤務し米国会計基準制定の背景,内容等に精通している事を基礎としてIFRSの重要事項を記述している事である。基準設定の経緯を必要に応じて説明し,原則主義に基づくIFRSの理解の促進に重要なインサイトを記述し,IFRSの内容の洞察力の向上に資し,他の書籍にない特徴がある。

第二に,各章ごとに,「会計処理のポイント」,「開示のポイント」,「日本基準との主な...