上場会社の経理担当者が知っておくべきPPA実務 第3回 PPAにおける無形資産の認識

株式会社Stand by C 公認会計士・税理士 松本 久幸

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1.何を無形資産として認識すべきか?

第3回は,PPAを実施した際に計上すべき無形資産をどのように認識するか,について解説する。まず,のれんと無形資産の関係について,図表1をご覧頂きたい。PPAに関する会計基準がなかった時代は,左側の図の買収価額と資産・負債の時価(=時価純資産額)との差額がのれんとして計上され,償却されていた。PPAに関する会計基準導入後は,原則として当該差額の内訳として無形資産が計上されることとなる。(差額を超える無形資産が計上される場合は,差額を超える金額が負ののれんとして取扱われることとなる。)

【図表1】PPAにおける無形資産評価手続の概要

右側の図のように,無形資産を計上する際には,2つのステップが必要となる。Step1が,本稿の主題である何を無形資産として認識するかであり,Step2が,Step1で認識した無形資産の評価額の算出,である。その意味では,Step1において認識すべき無形資産を的確に把握しないと,そのあとの無形資産の評価にまで影響を及ぼし,見当違いな無形資産が貸借対照表に計上されることとなるため,無形資産の認識の手続は,PPA手続の最初の山場となると...