いまさらきけない会計基準等と実務のポイント 第13回 税効果会計関係の注記の作成

新日本有限責任監査法人 公認会計士 安福 健也

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1.はじめに

第13回は,「税効果会計関係の注記の作成」をとりあげます。財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則(以降,「財務諸表等規則」という)では,財務諸表の作成に関して,法人税等について税効果会計を適用し,税効果会計に関する注記の開示を求めており,連結財務諸表においても同様の規定があります(財務諸表等規則第8条の10,11,連結財務諸表規則第11条,同第15条の5)。「税効果会計関係の注記」は,連結財務諸表で開示したことを理由に個別財務諸表での開示の省略が許容されるものではないことに留意が必要です。

税効果会計を適用することにより,貸借対照表上,繰延税金資産や繰延税金負債が計上され(ただし,繰延税金資産については,回収可能性が認められる範囲内で計上されます),損益計算書では,法人税等調整額が計上されることとなります(ただし,例えば,その他有価証券評価差額金に係る税効果会計の適用など,税効果会計を適用した場合の金額が純資産の部へ直接計上される場合もあります)。

貸借対照表本体においては,同一の納税主体の繰延税金資産及び繰延税金負債は,将来の各主体の税効果額の純額を表示すべく,流動資...