シリーズ「学生と語る会計基準」 西川教授のポイントレッスン! 第22回 連結概念

慶應義塾大学商学部 客員教授 西川郁生

( 16頁)

木村太一君  この対話も終わりに近づいているようですね。

教授  最後の2回は考え方の話をしましょう。今回は,連結に関して考えてみましょう。

誰のために報告するか?

教授  連結の考え方に関して木村君の着眼点を披露して貰えますか。

木村君  私が思い当たっているのは親会社説とか経済的単一体説に関連するものです。それらを比較するときの前提が整理されていないように思えます。

教授  親会社説から単一体説に移行した,という見方も,前提が十分整理されないまま解釈されている可能性があることになりますか。

木村君  そう思います。私の言いたいのは,連結財務報告というのは「誰のために」作られるのか,という視点と,連結財務報告の対象範囲は何か,という2つの論点をそれぞれ分けて考えるべきと思うのです。

教授  最近の流れを捉える意味で,いい着眼点ですね。ASBJも,以前に似たニュアンスのコメントをIASB/FASBに発信したことがあります。誰のために,というときに,焦点がずれないように,ひとまず, 主として 誰のために,と言葉を補っておきましょう。IASBの概念フレームワークでは,利用者を挙げて財務報告の目的を説明していますね。

木村君...