上場会社の経理担当者が知っておくべきPPA実務 第8回 経済的耐用年数
株式会社Stand by C 公認会計士・税理士 松本 久幸
1.無形資産の経済的耐用年数
前回(No.3325参照)は,WACC,IRR,WARAと各資産の割引率の設定について解説した。第8回は,無形資産の評価の際に設定する必要がある経済的耐用年数について解説する。
PPAにおいて認識される無形資産の経済的耐用年数は,当該無形資産より経済的効果が得られる期間=キャッシュ・フローを生み出す期間,として見積もられることとなる。そのため,インカム・アプローチによる評価手法によって無形資産を評価する場合,経済的耐用年数の長短によって見積もりキャッシュ・フロー期間も変わってくることから,耐用年数の設定如何によって無形資産の評価額が変わってくることとなる。また,設定した経済的耐用年数は,PPA確定後の会計期間における無形資産の償却年数とされることが多いため,買収した企業の営業利益等にも影響を与える。
現状,日本の会計基準においては,経済的耐用年数の明確な決定方法や考え方等は定められておらず,経済的耐用年数の根拠となるデータや情報を参照して個別に設定することが求められるが,実務上は,情報の入手に制約があり,根拠となるデータや情報が入手できないことも多く,経済的耐用...
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