【インタビュー】早稲田大学大学院会計研究科(WGSA)のアクチュアリー・プログラム発進

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早稲田大学大学院会計研究科 教授 清水 孝

 会計専門家の育成のために会計大学院が様々な取り組みをする中で,早稲田大学大学院会計研究科では,アクチュアリー養成のプログラムを立ち上げる。これらの取り組みについて,研究科長の清水孝教授にインタビューを行った。

・新たな取り組みを考えているということですが,どのような領域についてお考えですか?

早稲田大学の会計研究科では,設立時から「会計+1(プラスワン)」というコンセプトを掲げています。会計の知識を中心として,IT・コンサルティング,税務,英語,アクチュアリーといった方面の知識や能力の修得を推進することによって,会計のみならず,その周辺領域についても強みを持った会計人を養成するという意味です。こうしたコンセプトに基づき,幅広い科目を提供することで,これまで500名を超す公認会計士をはじめ,コンサルタントや大企業で経理実務を担当する人々を輩出してきました。このコンセプトに基づき,全学的にアクチュアリー養成を推進するように,このプログラムを立ち上げることにしました。

・アクチュアリーとは何ですか?

アクチュアリーは,日本語では保険数理人といわれることもあり,将来におけるリスクの評価や分析を行う専門職として,現在のビジネス界において非常に重要な役割を果たしています。アクチュアリーは生命保険や損害保険,年金の世界から発展してきたという歴史的な経緯がありますが,現在ではその知識がリスクマネジメントやデータサイエンスの分野で活用されることも少なくありません。また,会計の世界においても退職給付費用の計算にはアクチュアリーの技術が不可欠であり,こうした点からも会計と密接に関連した,まさに「会計+1(プラスワン)」にマッチしたものであると言えます。

・アクチュアリーになるためには?

アクチュアリーの資格を得るためには,日本アクチュアリー会が実施する2段階の試験に合格しなければなりません。基礎科目の習得状況を確認する第1次試験は数学,生保数理,損保数理,年金数理および会計・経済・投資理論の5科目で,これらすべてに合格すると日本アクチュアリー会の準会員となることができ,専門科目の習得状況を確認する第2次試験に進みます。第2次試験では生保コース,損保コースまたは年金コースを選択し,コースの2科目に合格すると正会員となります。

・年金数理人とは異なりますか?

厚生年...