Q&Aコーナー 気になる論点(209) IASBにおける基本財務諸表の検討(3)

‐キャッシュ・フロー計算書‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

( 32頁)

国際会計基準審議会(IASB)では,基本財務諸表プロジェクトにおいて,キャッシュ・フロー計算書は,今後,直接法のみとする方向で議論しているのでしょうか。

A

いいえ,これまでのところ,直接法のみを用いるといった議論はしておらず,むしろ営業活動によるキャッシュ・フローは,間接法も採用できることを前提に議論されています。

<解説>

キャッシュ・フロー計算書(1)‐営業活動

IASBの基本財務諸表プロジェクトでは,財務業績計算書とともにキャッシュ・フロー計算書について,的を絞った改善を図っています。

IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」において,キャッシュ・フロー計算書は,その事業(business)にとって最も適当な方法で,営業,投資及び財務の諸活動に区分して,期中のキャッシュ・フローを報告することとしています(10-11項)。

ここで,営業活動とは,企業の主たる収益獲得活動をいい,投資や財務活動以外の他の活動も含むとしており(6項),一般的には,当期純利益の算定につながる取引及びその他の事象の結果として生じるとしています(14項)。

この際,IAS第7号において,間接法では,当期純利益(profit...