3月期決算対策米国税制改革法の制定と日本企業への影響

~12月決算会社の事例も踏まえ~

新日本有限責任監査法人 公認会計士 吉田 剛

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1 はじめに

3月決算を迎えるにあたり,我が国の税制改正(平成30年度税制改正)に伴う税率変更はない一方,米国に連結子会社又は持分法適用会社を有する場合には,米国税制改革法の影響を検討する必要があります。

本稿では,米国の税制改革法成立の影響が我が国の3月末決算会社(日本基準適用会社)の期末決算(3月決算)の会計処理や開示にどういった影響を与えるかについて検討していきます。

なお,文中意見に係る部分は筆者の私見である旨,予めお断り申し上げます。

2 米国税制改革法の概要

米国の税制改革法案は,年内の成立が危ぶまれる中,2017年(平成29年)12月20日に米国の下院・上院の両院にて可決され,翌々日(12月22日)にトランプ大統領の署名により「Tax Cuts and Jobs Act(減税雇用法)」として成立しました。なお,本稿ではこれ以降,当該法律を便宜的に「米国税制改革法」と表記することとします。

米国税制改革法の影響は,特にアメリカをベースとする多国籍企業(アウトバウンド企業)に厳しいものであるといわれます。一方で,日系企業のように,アメリカからみると外資系企業(インバウンド企業)となるよう...