国税庁 藤井長官に就任インタビュー

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本誌はこのほど,7月27日付で国税庁長官に就任した藤井健志(ふじい・たけし)氏にインタビューを行った。

藤井氏は1985年に大蔵省に入省。東京国税局調査第一部長,主計局次長,国税庁次長を歴任した。

--国税庁長官就任の抱負を

インタビューに答える藤井健志長官

国税庁長官として,広く納税者の皆様からの意見に耳を傾けながら,国税職員56,000人と共に「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」という使命を果たせるように精一杯取り組みたい。経済活動の国際化やICT化などにより,税務行政を取り巻く環境は非常に大きく変化している。この変化に的確に対応し,使命を果たすことができるように,引き続き組織と業務の改革を進めていきたいと考えている。

--消費税率引上げに向けた国税庁の取組みについて

2019年10月に消費税率引上げということになるが,国税庁としては,それと併せて実施される軽減税率制度への対応が重要だと考えている。特に事業者の方には,制度実施に向けて税率ごとの商品管理や区分経理などの準備を行っていただく必要がある。引き続き関係府省庁と連携しながら,着実な制度周知・広報や,丁寧な相談対応などに取り組んでいきたい。

--仮想通貨取引に対する取組みは

昨年12月に仮想通貨に関する所得計算方法の情報を公表し,仮想通貨の関連団体に対して顧客などへの周知・広報を依頼するなど,仮想通貨取引に係る適正な申告・納税に向けた取組みを進めてきた。平成29年分所得税確定申告において,公的年金等以外の雑所得が1億円以上あった549人のうち,仮想通貨取引による収入があると判別できた方は331人だった。

また,仮想通貨交換業者が納税者に示す取引履歴の様式や内容が異なっていたことから,金融庁の協力を得ながら仮想通貨関連団体と共に納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備について検討するために,実務者レベルで仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会を開催することにした。本年4月以降4回開催しており,各交換業者の実態などを確認した上で,正確な所得計算のために年間取引レポートなどを顧客に提供できるようにするなど,申告利便性向上策を主に議論しているところだ。

所得の捕捉や課税について,あらゆる機会を通じて,課税上有効な各種資料情報の収集に努め,必要があれば税務調査を実施するなど,適正・公平な...