図解と事例で学ぶ!収益認識基準 第6回:いくら売上になる?(2)

 公認会計士・税理士 内田 正剛

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第6章 いくら売上になる?(2)

1.収益認識と5つのステップの復習

今回は,ステップ3「取引価格を計算する」とステップ4「取引価格を義務へ割り振る」を解説していきます。いつものように今回も,連載第1回( No.3372 )で解説した「【図1】収益認識と5つのステップ」を眺めてから,第6回を読み進めて行きましょう。

【図1】収益認識と5つのステップ

2.取引価格を別個の約束へ割り振る

(1)考え方のおさらい

買主にとって価値のある約束(=製品・商品・サービスの提供)の最小単位を,当連載では「別個の約束」と呼んでいます。それ単独でビジネスに活かせる約束と考えてもいいでしょう。

そして,契約に含まれる別個の約束が複数ある場合,ステップ3で計算した取引価格をそれぞれの「別個の約束」へ割り振っていく作業がステップ4です。割り振り方は,約束を単独で販売するときに付される「独立販売価格」を使うのが原則です。もちろん,機械的にただ割り振ればいいというものではなく,売主が最終的に買主から受け取ることになる金額(以下「取引価格」とします)を,割り振った結果が表していなければいけません。会計は,数値を使って取引実態を適切に...