IFRS第17号『保険契約』の適用に向けて 第3回 2018年9月開催TRGの解説

有限責任 あずさ監査法人 公認会計士 蓑輪 康喜
 公認会計士 山下 光

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<はじめに>

2017年5月,国際会計基準審議会(IASB)はIFRS第17号「保険契約」(以下,「IFRS第17号」または「本基準書」という)を公表した。IFRS第17号は,原則として2021年1月1日以後に開始する事業年度より適用されるが,本基準書の適用をサポートするため,IASBによりTransition Resource Group(以下,「TRG」という。TRGに関する説明については本連載第1回( No.3354 )を参照。)が設置されている。2018年は,2月,5月,9月の3回(当初予定されていた12月の開催は2019年4月に延期)にわたって開催されるスケジュールとなっており,本稿では,2018年9月に開催されたTRGの議論の内容について解説する。なお,文中の意見にわたる部分は私見であり,特に断りのない限り,項番号および付録は本基準書のものを指す。

<2018年9月開催TRGの概要>

2018年9月に開催されたTRGでは,以下の議題について議論された。

1.発生保険金に起因する保険リスク

2.トップダウン・アプローチを採用する際の割引率の決定

3.再保険手数料および復元保険料

4.現在または...