IFRSをめぐる動向 第112回《特別編》 2018年の主な基準開発の動向と今後の予定
PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 吉岡 亨
PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 林 千雄
Ⅰ はじめに
昨年2018年(平成30年)も,国際財務報告基準(IFRS)の基準開発を巡ってさまざまな話題のある年でした。
まず,2012年以降,長く検討が続けられてきた概念フレームワークの改訂作業が完了しました。また,財務諸表の作成に欠かせない概念である「重要性」の定義の明確化も行われています。
さらに,国際会計基準審議会(IASB)の審議において重要な審議が行われたプロジェクトとして,のれんと減損に関するプロジェクトや損益計算書などの基本財務諸表の見直しを図るプロジェクトが挙げられます。前者ではのれんの償却を再導入するか検討することを,後者ではIFRSの規定において「営業利益」という小計を設けることが,昨年暫定的に決定されました。
加えて,基準公表後の適用支援の取り組みの中で寄せられた課題や意見などを踏まえ,IFRS第17号「保険契約」については,適用時期を1年後ろ倒しにすることが決定されています。
本稿では,このような昨年1年のIFRSをめぐる基準開発の動向を振り返るとともに,今後予定される動きについて紹介します。
Ⅱ 主な公表物
昨年2018年におけるIASBの公表物はさほど多くありません。...
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