時事談論 vol.20「企業寿命30年説に考える株式本位制度<その2>」

解説
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●M&Aと巨額なのれん計上

当時すでにビジネスのトレンドとして,世界的なM&Aはさらに巨額になることが予想されていた。このM&Aの金額が増大するとともに,巨額ののれんが計上されているが,IFRS及びアメリカ基準等においては,購入のれんについて減損テストの必要はあるものの,規則的な償却は行わない会計処理に変更されたことは周知の通りである。

●企業価値の評価

企業価値評価方法には,市場株価法,類似会社比準法などのマーケットアプローチ,DCF法,収益還元法等のインカムアプローチ,及び簿価(時価)純資産価額法,再調達価額法等のコストアプローチの3つのアプローチがある。しかし,マーケットが未成熟な業種等に関しては,売上高倍率でざっくりと評価されることもある。そのような場合,経験則的な売上高=株式時価総額の感覚から,国家の名目GDP≒株式市場の時価総額になることを肌感覚として持っている。実際には,「≒」ではなく,上限金額=キャップになるというのが,より近い感覚なのであるが,特に客観的なデータがない世界では,一つの目安になると考える。このため経済が拡大する環境下において,M&Aによって企業...