時事談論 vol.30「内部統制のレベル感~人命を預かる人たち~」

解説
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●取り違えてはどうしようもない

この夏,20年ぶりに1か月近く入院した。20年前も同じ病院だったので,少しは慌てないかと思っていたが,入院前はただただ焦っているばかりで,今思い出しても,何をして,何を考えていたか,詳細は思い出せない。

そんな状態で手術の前日入院すると,大きなイベントの時に手首に巻きつけられるビニール製の腕輪が着けられた。「入院中は外さないでください」と。そこには名前,生年月日,バーコードが付され,色々な情報はそのバーコードを読み取れば,移動端末に呼び出されるようだ。

内部統制の整備・運用する。という職業柄,これには一瞬自分のことを忘れ「お,病院も内部統制」といった感想を持ち,看護師の操作や作業を注視していた。

私が入院した病院はこの20年間にいくつかの医療事故といわれるものを発生させている。入院前に「大丈夫か?」と心配してくれた友人がいたが,無理もない。そういう事件や事故を経て,何が最優先か,何は絶対に譲ってはいけないのか,ということを病院自らが考えれば,まず,患者を取り違え,誤った治療行為を行うことは,手順を踏むことによって避けられること,と判断されたのだと...