時事談論 vol.41「不正発覚時にCFOがすべきこと」

解説
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●不正の発生は異常事態ではない

先日も某大手商社において,多額の損失に関する発表があった。従業員の権限外取引とリスク管理システム上のデータ改竄があったということなので,従業員不正であろう。残念ながら,このような不正事案は増加してきている。コーポレートガバナンスの強化によって,かつては水面下で処理されてきた不正が表面化するようになってきたという面もあると考えるが,現実に不正が増加していると受け止めるべきであろう。国内新規事業や海外関係会社における不正の発生が,明らかに増加していると感じる。

このような不正が発生しないように内部統制を構築することが,CFOの大事な仕事であることは言うまでもない。しかし,ここであえて不正が発生したらどう対処すべきかについて言及したい。不正は発生する可能性のあるものと考えなければならない状況であり,火事を想定した防災訓練が必要なように,不正が発生したことを想定した訓練も必要である。しかし,最近でも消火方法を誤った事例がいくつか発生している。消火に失敗した,場合によっては火に油を注いでしまったような事例が発生している。

●まず何をすべきか?

最初に行うべ...