時事談論 vol.58「その取引は本当に悪いことなのか?」

解説
( 36頁)

●「売上高」の変わらぬ重要性

今年も循環取引が明るみに出て,問題視された。参加メンバーも有名企業が多く,大手監査法人すべてが見つけていなかった,とも言われている。「なぜ見つけられないか?」は改めて書くとして,「不正の三要件」は,①動機,②機会,③正当化と言われるが,「動機」は何か?なぜ循環取引は繰り返されるのか?

当たり前だが,企業の評価に売上高が用いられることは依然として多い。例えば,官庁の一般競争参加資格のランク分けにおいて「生産高又は販売高等」は評価項目の一つだ。

他にも指標はあるが,自己資本や営業年数は,1,2年頑張ったからといって大きく変わらない。それに比べれば「生産高又は販売高等」つまり売上高は過去2年の平均をとる事例があるが,それでも「2年」で効果が出る。売上高が大きいことによって,より大きな業務の入札に参加できることになる。であれば,仕事を増やそう,大きくなろう,という会社,成果をあげよう,という担当者,いずれも「売上高を大きくしよう」と考えるのは,至極当然だ。

●なぜ循環取引?

普通はそこで「どうやって営業するか?」「どんな製品やサービスなら買ってもらえるか?」...