IFRSヘッジ会計の実務へのヒント 第4回(最終回) 純投資ヘッジ②
実務上のポイント
有限責任あずさ監査法人 公認会計士 山下 光
( 12頁)
はじめに
連載第3回で解説した純投資ヘッジの会計処理の概要を踏まえ,第4回(最終回)の本稿では,純投資ヘッジの具体的な事例を仕訳とともに解説します。
なお,文中の意見に関する部分は筆者の私見であることを,あらかじめ申し添えます。
1.純投資ヘッジの概要(第3回のおさらい)
在外子会社等の在外拠点における機能通貨で作成された財務諸表を,親会社の機能通貨へ換算する際に生じる換算差額は,その他の包括利益(OCI)を通じて純資産(為替換算調整勘定)に計上されます。この為替換算調整勘定は,最終的には,在外拠点の処分時に純損益へ振り替えられます(組替調整)。純投資ヘッジとは,このような機能通貨の異なる在外拠点への投資から生じる為替変動エクスポージャーに対するヘッジです。
IFRS上,ヘッジ対象として指定できるのは,在外営業活動体の機能通貨とその在外営業活動体の親会社の機能通貨との間で生じる為替エクスポージャーとされます。ここで,在外営業活動体とは,その活動が,報告企業と異なる国又は通貨に基盤を置いているか又は行われている,報告企業の子会社,関連会社,共同支配の取決め又は支店です。
純投資ヘッジのヘッジ手段は,...
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