時事談論 vol.76「信用を失うことと取り戻し方」

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●会計士の信用とは?

9月中旬,驚く報道があった。日本の大監査法人の一つで,履修が義務付けられている研修単位の不正取得があったとのこと。

公認会計士に求められる規制は様々ある。被監査会社の株を持ったり,被監査会社から常識の範囲を超える高額の接待を受ければ,自らの利益のために判断を曲げかねないと疑われ,独立性がない,として処分される。

継続研修制度(CPE)も公認会計士法の規定に基づき設置されている自主規制機関「日本公認会計士協会」がその会員たる公認会計士に「公認会計士としての使命及び職責を全うし,監査業務等の質的向上を図るために」義務付けている,とHPに書いてある。

研修単位は1時間=1単位,年間40単位,直近3年間で120単位が必要とある。今回の不正は「二重受講」とあり,Web研修を複数同時に起動,視聴して,それぞれ受講完了したことにする。そして,研修の実施主体として協会から認められた監査法人が,協会に申請して単位取得していたとのこと。1時間=1単位なのに,それ以下の時間で単位を取得したことになり,まったく情状酌量の余地はない。不正を行ったうちの何人かは,これらの単位が認められなければ,年間...