<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第21回 貨幣と会計(その6)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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フリマ・アプリ

テレワークのおかげで,家の中の片づけがすすんで,不用品をフリマ・アプリで処分したという方も多いのではないかと思う。インターネット技術の発達により,昔では考えられないスピードで個人対個人の相対売買が出来るようになった。フリマ・アプリに限らず,個人が提供するサービスを直接受け取れる仕組みが成長している。日本ではまだ規制が厳しいので限界があるが,個人によるタクシーサービスなどが典型例である。ただ,現在成長している個人対個人の財・サービスの売買は,まだ仲介業者を通じた取引である。すなわち,メルカリやuberなどという仲介業者(企業)が重要な機能を果たしており,その機能に見合った手数料が支払われている。

企業対個人の取引と,個人対個人の取引との大きな違いは,取引する相手を信頼することの難易度の違いである。名の通った企業であれば,信頼しやすいが,第三者の個人が相手では,簡単に信頼することが出来ない。そこで,どうしても仲介業者が必要となる。仲介業者が名の通った企業であれば,その先にある個人が誰であろうと,あまり心配する必要はない。したがって,信頼(ないしは信用であるが,ここでは敢えて信頼...