会計知識録 第10回 TOBと買収の違いって何?~コロワイドの大戸屋TOBの会計的な意味~
公認会計士 溝口 聖規
コロワイドによる大戸屋ホールディングス(以下,大戸屋)に対するTOBをはじめ,NTT(日本電信電話)によるNTTドコモ,DCMホールディングスとニトリによる島忠の争奪戦など,国内におけるTOBが活況を呈しています。
TOBは,「株式公開買付」と言い,take-over bidの頭文字をとった略です。企業買収の手段として用いられることが多いTOBですが,TOBと買収は同じ意味と考えても良いのでしょうか。
今回は,TOBと買収の違いなどTOBの概要を解説するとともに,コロワイドの大戸屋に対するTOBの会計的な意味について考えてみたいと思います。
TOBとは
株式公開買付(本コラムではTOBと表現を統一します)は,株式の買付数や価格,期間等をあらかじめ公表し,金融取引所が開設している市場(以下「取引市場」と言います)"外"で不特定多数の株主から株式を買い付けることを言います。TOBは金融商品取引法に規定される手続きであり,一定の要件に該当する株式の買い付けはTOBが義務付けられています (注1) 。
(注1) 正確には,TOBの対象は「株券等」であり,株式以外にも新株予約権付社債なども含まれますが,本稿で...
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