時事談論 vol82「説明責任を果たす」

( 42頁)

●「説明責任を果たすべき」

国会審議や政治家の発言を聞くと,このところ,とみに多くなってきたことばに,「説明責任」というものがある。

政治資金の不透明な支出や,公的な文書の改竄問題,最近では学術会議の委員の任命拒否問題などもある。いずれも,マスコミや野党が「説明責任を果たすべきだ」と言って追及したり,政府や与党が,「政治家は自ら説明責任を果たす必要がある」として当人に対応を求めたりすることもある。

たしかに説明責任を果たせとは言っているが,では当事者が「説明」をした場合にどうなるか。おそらく,「まだ十分な説明とはいえない」「説明になっていない」と更なる追及が待っている。

実際に,求めている説明ではないことも多い。しかしながら,中には,責任を追及している側の意に沿った「説明」や,描いた事件の構造に沿った事実,当事者による不正を認める発言を期待して,それがなされるまで,延々と「説明責任を果たせ」と言い続けるケースもあるのではないか。つまり,「説明責任を果たす」ことが目的の追及ではなく,「責任をとれ。とらないなら,それを正当化する説明をしてみろ」ということなのだろう。

もう十分に説明をした,これ以上は...