<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第28回 市場か倫理か(財務vs非財務)(その3)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
SDGsカラーホイール
何年か前に親戚の子供がテレビのニュース番組を見て,政治家の先生が皆さん襟に虹色のきれいな丸いバッジをつけているのは,最近のファッションなのかと聞いてきたことがある。SDGsの17色のカラーホイールのピンバッジのことである。たしかにファッション性は素晴らしく,どのような服にも合うきれいなバッジである。
SDGsはもちろんファッションではない。むしろ貧困,飢餓,不平等といったファッションとは対極にあると言ってもよい問題を扱う取り組みである。にもかかわらず,親戚の子供が直感的にこれはファッションだと思ったのは何故だろう。それは,バッジをする人が少しずつ増え始め,気づけばいつの間にかほとんどの先生方が同じバッジをするようになっていたからだろうと思う。
ファッションとユニフォームの違いは,自主的か強制的かの違いであろう。ファッションは,自分がこの服を着よう,このアクセサリーを身につけようと自主的に判断することにある。そして,結果として多くの人が同じようなスタイルに同化して行くという社会現象が流行ファッションである。一方でユニフォームは権限を持ったトップが,その権限の下にある構成...
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