コロナ禍の減資事例 9割が1億円以下に

小売業で目立つ 経営状況など考慮か
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新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた企業が,繰越欠損金の解消や優遇税制などを理由に,資本金の額を減少する「減資」に踏み切る事例が目立っている。本誌調査では,新型コロナが猛威を振るい始めた2020年4月から本年6月20日までに減資に関する適時開示を行った企業は61社あった。このうち,資本金の額を1億円以下とするケースが9割を占めていた。コロナの影響を考慮し,資金流出に備える事例が多いとみられる。

【集計対象】

2020年4月1日から2021年6月20日までに,「資本金の額の減少に関するお知らせ」などのタイトルで行われた適時開示。上場廃止となった企業, 会社法第447条 第3項による減資を行った企業を除く(下記参照)。

減資の主なルール

減資には,例えば資本金の減少によって得られた剰余金を株主に払い戻す「有償減資」と,帳簿上の資本金の金額を減少する「無償減資」がある。減資を行う際は原則,株主総会で減少する資本金の額などを特別決議によって定める(会社法第447条第1項,同第309条第2項)。ただし,①定時株主総会の決議である場合,②減少する資本金の額が欠損の額を超えない場合は普通決議で足りるほか(...