ナッジで解決!経理パーソンの悩みごと 第5回 月次決算の中にもたくさん!「経理資料の見せ方」ナッジ

管理会計ラボ株式会社 代表取締役・公認会計士 梅澤 真由美

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前回( No.3511・40頁 )までは,他部門などへの依頼についてスムーズに応じてもらうためのナッジを3回にわたって丁寧に解説しました。実務に携わる皆さんが,他人に動いてもらうことに大きな苦労を感じているのではないかと考えてのことです。

経理はあらゆる取引や事象を数字に変えるのが仕事であり,この流れを考えると,前工程である依頼は私たちの仕事の生命線とも言えます。今回は,視点を変えて後工程のひとつである資料づくりにどのようなナッジがあるのかを見ていきましょう。

1.月次決算報告資料の形式は,どの会社も同じ

月次決算の報告用資料を題材に見てみます。次頁の図のような報告資料は,取締役会や経営会議でとてもよく見かけます。

横軸に注目してください。報告の主な対象となるその月の実績値に加えて,前年や予算の数値も比較対象として載っています。さらに,これら比較対象との差額を計算した結果も合わせて表示され,その横に差額の発生原因についてコメントが書かれています。

このような体裁で毎月の業績を継続的に報告することは,経理実務として定着しています。「依頼の伝え方」ナッジでも「デフォルト(=定型)を決める」ことを紹介しま...