連結財務諸表監査における分析について

監査法人アヴァンティア 公認会計士 加藤 建史

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1.はじめに

証券取引法監査に連結という概念が持ち込まれたのが昭和52年度なので,連結財務諸表監査が始まってから40年あまりということになる。私が会計士補になり,大手監査法人に入ったころ,大規模なクライアントのチームではダブルヘッダーの監査予定(昼間は別のクライアント,夕方から大規模クライアントで連結監査)を入れられ,夕方から連結財務諸表監査をしていた。年に二度だけとはいえ,大変に忙しく,「大変な職業についてしまったな。」と思うこともあった。

それから20年余りが経過。その後私は中小規模のクライアントを担当することが多かったこともあり,大規模な連結監査をしているチームにはあまり接さなかった。

しかし,マネージャーとなった後,大規模クライアントの監査に応援に行ったが,そこで実施している連結監査は,私が接してきたものとは全く異なるものだった。分析中心で,仕訳一本一本を見るということをほとんどしない。果たしてこれでしっかりと「監査」をしているといえるのか,疑問に思った。最近はダブルヘッダーで監査をしていると聞くこともあまりないように思うことから,他にも同じように分析中心の連結財務諸表監査を行ってい...