<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第40回 基本財務諸表(その4)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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EBIT

基本財務諸表のプロジェクトがスタートした当初,IASBは,投資家やアナリストなどが企業業績を測る指標として広く利用している指標として,EBIT(Earnings Before Interest and Taxes: 利息及び税金控除前利益)があるのではないかと考えた,

EBITが広く利用されている理由は,財務活動と事業活動とは別物であり,財務活動を除いた事業活動のみのパフォーマンスを捉えることができると信じられているからであろう。EBITが有用であることを説明する際に,EBITは企業の資本調達の方法に左右されない指標であるという説明がなされる。事業活動に必要な資金を株式発行によって調達した企業は,調達した資金にコストがかからないが,銀行借入によって事業資金を調達した企業は利息費用がかかる。単純に純利益や税引前利益を比較すると,前者の方のパフォーマンスが良く見えるが,実際の稼ぐ力は後者の方が上かもしれない。

IFRSにおける営業利益は,企業によってその構成要素にばらつきがあるが,EBITであれば,あまり企業によるばらつきはないと当初考えられていた。基本財務諸表プロジェクトは,根本的な...