ASBJ IFRSのECLモデルと米国基準のCECLモデルを比較検討

金融資産の減損に関する「予想信用損失モデル」を検討開始
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企業会計基準委員会(ASBJ,小賀坂敦委員長)では本年8月から,金融資産の減損に関する会計基準の開発に着手している。金融商品に関する日本基準を国際的に整合性のあるものにするための取組みの一環として,国際的な潮流である「予想信用損失モデル」の導入を目指す。金融機関における貸付金に関する減損から議論を始めており,9月7日開催の第169回金融商品専門委員会では具体的な検討に入る前段階として,IFRSと米国基準それぞれの予想信用損失モデルの違いを比較するなどした。

発生損失モデルに代わる予想信用損失モデル

IFRSや米国基準では従来,減損の客観的な証拠が存在する場合(IFRS)や発生可能性が高い場合(米国基準)に減損損失を認識する「発生損失モデル」を採用していた。だが,2008年のリーマン・ショックをはじめとする国際的な金融危機の中で「信用減損の認識が遅すぎる」といった批判が寄せられるようになり,代わって導入されたのが「予想信用損失モデル」だ。

両基準の減損モデルは同じ「予想信用損失モデル」と総称されるが,厳密にはIFRSにおけるモデルはECL(Expected Credit Loss)モデル,米国...