ナッジで解決!経理パーソンの悩みごと 第10回(最終回) いまやナッジは経理の必須スキル!?経理の未来とナッジの関係

管理会計ラボ株式会社 代表取締役・公認会計士 梅澤 真由美

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前回( No.3521・42頁 )は,変化への対応に役立つナッジを扱いました。この1~2年に起きた変化の激しさを改めて実感すると同時に,変化へ対応するスキルの大切さを認識した方もいるでしょう。

最終回である今回は,経理のこれからに目を向けて,今後起こりうる変化を考えたいと思います。そして,その変化に対してナッジはどのように役に立つのかを見てみましょう。

1.義務による強制力が使えなくなる

連載の初回( No.3505・16頁 )に,ナッジは「やらなきゃいけないものの,実際にはやってもらえないこと」に使うのが適していると書きました。経理関連の業務は私たち経理パーソン自身は周囲から協力されるべきことと考えがちな一方で,相手である各部門の担当者にとってはなかなか腰が上がらないのが現実。だからこそ,ナッジという仕掛けが有効なのだと。

リモート勤務が進みつつある今,これまでは目の前で確認できた「働きぶり」に代わって,成果に重きをおいた人事評価がさらに増えていくのではないかと考えています。この流れが加速すれば,各部門では〆切間近な伝票起票ではなく,自分の評価に結びつきやすい業務を優先するという人も出てくるでしょう...