DWG報告のポイント⑤ 適時開示のあり方と重要情報の公表タイミング

取引所において適時開示の促進を検討
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第5回のテーマは適時開示のあり方と重要情報の公表タイミング。細則主義の弊害として、投資判断に重要と見込まれる情報でも開示に消極的な事例があるなどの指摘を踏まえ、ディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)報告では、取引所に適時開示の促進を検討することなどを促している。

(1) 背景

日本では取引所が開示すべき事項や重要性基準を定める細則主義をとっており、投資判断に重要と見込まれる情報でも「細則」に該当しない場合や、経営環境が不透明で「細則」への該当性が不明確な場合には、開示に消極的な事例があるとの指摘がある。

例えば、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大時において、決算発表時期の到来前に適時開示を行った日本企業は1割程度であったものの、2020年度第1四半期決算では半数以上の企業が前年同四半期比で30%以上の減益となった旨を開示していた。

(2)報告の概要

①適時開示の在り方

これを踏まえ、DWG報告には次の3点が盛り込まれた。

● 投資家の投資判断上、よりタイムリーに企業の状況変化に関する情報が企業から開示されるよう、取引所において適時開示の促進を検討すべきである。● その検討に当たっては...