消費税「インボイス制度」に係る実務上の疑問点Q&A 第2回 請求書等の交付がない場合のインボイス対応(家賃、顧問料等)

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士・税理士 太田 達也

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令和5年10月1日から、消費税のインボイス制度の適用が開始されます。インボイス制度は新しい制度であり、従来の実務にない新たな対応が多く求められることになります。

本連載では、インボイス制度について、実務上問題の生じやすいテーマを取り上げていきたいと思います。第2回は、請求書等の交付がない場合のインボイスへの対応について取り上げます。

Q

当社は、事務所の家賃を毎月支払っています。個人の貸主との間で過去に不動産賃貸借契約書を取り交わしていますが、その中に賃借料500,000円(消費税別)と記載されており、それに基づいて口座振替により支払っています。特に請求書等の交付は受けていません。

また、税理士に支払う顧問料についても、同様に、口座振替により支払っていますが、特に請求書等の交付は受けていません。インボイス導入後は、何らかの対応が新たに必要になりますでしょうか。

A

1.原則としてインボイスが必要

通常、契約書に基づき代金決済が行われ、取引の都度、請求書や領収書が交付されない取引であっても、インボイス制度下において仕入税額控除を受けるためには、原則として、適格請求書の保存が必要となります。この点、適格...