改正倫理規則について

 公認会計士 山田 雅弘

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1. はじめに

この度、2022年7月に開催された日本公認会計士協会の第56回定期総会において、倫理規則の改正が承認された。その改正は、個別規定の改正に留まらず、倫理規則の体系及び構成等の全面的な見直しを含む大改正である。以下、改正の概要や導入の背景等について解説する。なお、本文中、意見にわたる部分は、筆者の個人的見解である。また、今後倫理規則の中で参照している報告書等の名称変更を反映し、確定版が公表される予定である。

2. 改正の背景

倫理規則は、公認会計士の業務に対する社会からの信頼の基礎となる重要な規則であることから、会員にとって分かりやすく、遵守を促進するものである必要がある。しかしながら、改正前の倫理規則は、複雑な構造で分かりにくく、一貫した理解が困難との声も聞かれていた。2018年4月に、国際会計士連盟(International Federation of Accountants:IFAC)の国際会計士倫理基準審議会(The International Ethics Standards Board for Accountants:IESBA)から、IESBA倫理規程の全面的な見...