ESGと経営財務 第1回 伝統的な経営財務と価値創造
京都大学経営管理大学院・経済学部 教授 砂川伸幸
( 12頁)
1. 連載の目的─ESG時代の経営財務を考える─
実務の世界で進むESG経営と歩調を合わせるように、学会でもESGとファイナンスや経営学を統合する方向で研究が進められている。私が会員である日本経営財務研究学会や日本価値創造ERM学会においても、ESG要素と財務指標や株価パフォーマンスとの関係を分析した研究報告が増えている。勤務している京都大学では、学内助成プログラム「GAPファンド臨時プログラム」の支援を受けて実施した「ポストコロナ社会における企業価値の探索」(砂川・岡田、2022)、関西経済連合会とのプロジェクト(関西経済連合会、2022)、京都大学ESG経営実装研究会など、非財務情報と財務指標に関する研究が進められている。学部横断的な京都大学カーボン・ニュートラル推進フォーラムも活発に情報発信をしている。これらESG要素と経営との融合、財務と非財務の統合などの潮流は、少なくとも気候変動や人権の問題がなくなり、社会のサステナビリティに対する懸念が小さくなるまでは持続すると考えられる。
このような背景の下、本連載では、ESGとファイナンス、とくにコーポレートファイナンスとの統合について解説...
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