「価値協創ガイダンス2.0」の活用について
経済産業省 経済産業政策局 産業資金課 課長補佐 山井 翔平
( 24頁)
1. はじめに
経済産業省では,2021年5月に「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」を立ち上げ、SXの実現に向けて、企業や投資家等に求められる取組を具体化させるため、8回にわたり議論を行った。また、SXの実現に向けた経営の強化、効果的な情報開示や建設的な対話を行うためのフレームワークとして価値協創ガイダンスを改訂することを目指し、同年11月に立ち上げた「価値協創ガイダンスの改訂に向けたワーキング・グループ」で2回の会合を催し、検討を深めた。
以上の議論の成果として、「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」及び「価値協創ガイダンス2.0」を策定し、2022年8月31日に公表した。
本記事では、価値協創ガイダンス2.0の概要や活用を中心としつつ、その前提となるSXの概要等についても解説する。
2. 議論の背景とSXの概要
日本企業の資本効率性や長期成長に向けた投資は未だ伸び悩んでおり、時価総額が企業の解散価値を下回る状況であるPBR1倍割れの企業の割合も、欧米に比して日本は多い。伊藤レポート(2014年公表)以来の課題である「...
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