Q&Aコーナー 気になる論点(325) 法人税等の計上区分
早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一
Q 企業会計基準委員会(ASBJ)が2022年10月28日に公表した改正企業会計基準第27号「 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準 」(改正会計基準)では、その他の包括利益(OCI)に対して法人税、住民税及び事業税等(法人税等)が課される場合、当該法人税等をOCIに計上するとしています。この場合、当該法人税等のリサイクリングは、どうなるのでしょうか。 |
A
改正会計基準では、OCIに計上された法人等については、当該法人税等が課される原因となる取引等がリサイクリング上された時点で、これに対応する税額をリサイクリングすることとしています。これは、税法の改正に伴う税率の変更に係る差額も同じとしています。
〈解説〉
改正の背景と概要
これまでの企業会計基準第27号では、当事業年度の所得に対する法人税等は、法令に従い算定した額を損益に計上することとしていたため、会計上、OCIに対して課される法人税等も損益に計上されることとなり、税引前当期純利益と法人税等の対応関係が図られていないという懸念がありました( 25-2項 )。
改正会計基準では、当事業年度の所得に対する法人税等を、課税の対象となった取引等の発生源泉...
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