<INTERVIEW>中小監査事務所への期待② Mooreみらい監査法人「幅広い人員で品質を高める態勢がベスト」
「中小監査事務所の実態がわからない」。大手・準大手監査法人を除いた中小事務所の数は200を超える。中には行政処分を受けるケースが目立ち、監査体制に不安を感じてしまうとの指摘も聞かれる。ただし、多くの事務所は経営基盤の整備に注力しており、中小事務所は規模に応じた監査体制を敷いている。改正公認会計士法等により注目が集まる中、監査品質向上に向けてどのような取組みを進めているのか。トップの声と共にその実情を紹介する。 今回は、本年7月にMoore至誠監査法人ときさらぎ監査法人の合併で生まれたMooreみらい監査法人の吉村智明理事長、鶴田慎之介副理事長にインタビューを実施。全職員による連携や情報開示の重要性などを聞いた。 |
1.積極的な情報開示を進める
―改正公認会計士法により、上場会社監査事務所の登録制度が法定化されました。法改正をどのように受け止めましたか。
吉村 法改正の議論の中で中小監査事務所の監査品質の維持向上について様々な意見があったと認識しており、私たち中小監査事務所の経営基盤の更なる整備充実が求められていると実感しています。法改正の少し前の2019年に、金融庁内に「株式新規上場(IPO)に係る監査事務所の選任等に関する連絡協議会」 ① が設置されましたが、日本公認会計士協会(JICPA)もIPO監査の新たな担い手となる中小監査事務所リストを作成し、IPO会計監査フォーラムという市場関係者の交流会を行いました。これには私たちも出席しましたが、これからの中小監査事務所は、より一層、監査業界の裾野を支える立場にあるという自覚が強まったことを覚えています。
このため、今回の法改正を前向きに捉え、積極的に情報開示していく必要があると考えています。態勢がより整備され、情報開示が充実することによって利用者の不安が払拭されていくことが期待されていると考えますし、結果として監査人として選んでいただけるよう努めたいと思っています。
―どのような経営基盤の整備を進めますか。
吉村 JICPAは、上場会社等監査事務所が整備すべき基盤を6つ示しています②。現状、全て完璧にできている自信はありませんので、取組みを充実させていく必要があります。例えば、私たちは「Moore Global」という国際ネットワークの一員なの...
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