<INTERVIEW>中小監査事務所への期待④ 新創監査法人「積極的な情報開示でさらなる品質向上へ」
中小監査事務所の監査品質向上に向けた取組みを聞くインタビューシリーズ。今回は新創監査法人。「監査法人のガバナンス・コード」を単にコンプライするのではなく、コードに沿った形で体制整備を進めてきたという。品質管理責任者の相川高志代表社員に加えて、統括代表社員の柳澤義一氏にも、改正公認会計士法への対応や積極的な情報開示への考えなどを聞いた。 |
1.企業規模に応じて監査体制も変わる
――まずは公認会計士法等の改正について、どのように感じられたか教えてください。
柳澤 改正に係る政府令案も公表されましたが、ハードローとソフトローが表裏一体になっている印象はあります。例えば施行規則案第96条《組織的な運営》では「監査法人のガバナンス・コード」に沿った業務体制の整備を求めていますが、コード自体はソフトローです。直接的な適用を要求していない点から、日本公認会計士協会(JICPA)の自主規制に委ねるというニュアンスも感じました。
相川 今までも中小監査事務所については一定水準以上の品質管理の維持が求められていました。ただ、その点が外部からはわかりにくかったことにより、ややもすると「大手は品質が良く、中小はイマイチ」と思われてしまうこともあったと思います。昨今、上場企業の監査の担い手が大手から中小に流れている中で、中小も同じクオリティが求められており、そのために各事務所がそれぞれ適した品質管理体制をとっていることを外部に示せるのは非常にいいことではないかと個人的には歓迎しています。
柳澤 マッチングの結果、企業の規模に合致する中小事務所が監査を受け持つ状況はいいことだと思います。現在は中小事務所だけでも700社ほどの監査を行っています ① 。中小への交代理由としてよく監査報酬が挙げられますが、日本の上場企業には売上が数億円から数十兆円まであるので、規模によっておのずと監査体制も変わりますよね。大きなダンプカーより軽トラックで運んだ方が効率的なことがあるわけです。米国でもローカルマーケットのようなところは中小事務所が監査を行うのが主流です。
相川 やはり企業の規模に見合った監査法人の方が相談のしやすさ、付き合いやすさはあると思います。マッチングを重視する流れは今後もしばらくは続くと思います。
2.情報開示は不可欠
――貴...
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