<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第76回 保険とIFRS会計基準(2)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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ポイチ(保一)

サッカー・ワールドカップの日本代表を率いて日本に新しい景色を見せてくれた森保一監督は、友達からはポイチと呼ばれている。苗字の下一文字の「保」と名前の「一」を付けた保一をポイチと読むらしい。ところで「保」という字を表現する際に、おそらく大半の人は、保険の「保」と言うのではないだろうか。それほど保険という言葉は日本人の間に定着した言葉になっている。

ちなみに「保」という文字は、たもつ、とも読み、保管、保存、保有、保持、保護、保身といった言葉を構成する。いずれも保つという意味合いがある。では、「保険」という言葉はどうか。険しいを保つ...では意味が通じない。同じ「保」という文字を使うのだが、保険の「保」は他の熟語での使われ方とは少し違うようだ。そこで、保険という言葉の由来を色々調べてみると、険しいところに籠り身を守るという言葉から来ているそうだ。険とは身を守る要塞のようなものなのだ。険を保つ、で合っていた。

日本には国民皆保険制度や自動車損害賠償責任保険などといった仕組みもあるので、一切保険には加入していないという人はまずいない。また、最近の若い人はそうでもないかもしれないが、筆者の年...