自然資本は次のISSBアジェンダか?

株式会社野村総合研究所 上級研究員 三井 千絵

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※本稿の執筆は2022年12月中旬。

国際サステナビリティ開示基準の初のパブリック・コンサルテーション(以下、パブコメ)も締め切りから5カ月ほどたった。ISSBのホームページで公表されるボードアジェンダでは、寄せられた意見を反映させる議論の様子が伺える。開発中の基準であるS1、S2の行方も気になるが、気候変動開示には、TCFDを通じたコンセンサスがあり、コンサルテーションで意見が出ていた点も、ボードで着実に議論されているようだ。そこで「次のアジェンダ(S3/S4)」に関心が向かうのは自然な流れだろう。2022年の夏に意見募集が行われたEU版のサステナビリティ開示基準は、最初から"E"、"S"、"G"のすべてをカバーした13個の基準でスタートするため、ISSBが早く対象基準を広げ、気候変動以外の議論もグローバルで行うことができることを願う投資家や関係者もいるだろう。EUだけが先行して実績を作り、その後で議論することになると、先行基準をもとに考えることは避けられず、EUの基準の影響が強まる可能性がある。少しでも早くグローバル基準としても議論を始めて、より早い段階からこれに関与したい...、とIS...