[連載対談]キーパーソンに訊く重要テーマ 第4回「上場会社等監査人登録制度」

日本公認会計士協会 会長 茂木 哲也
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科 教授 町田 祥弘

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Ⅰ.ここが訊きたい

2022年5月、公認会計士法が改正された。監査報告書における電子署名の導入にかかる改正を除けば、カネボウ事件後の2007年以来15年ぶりの改正であった。

同改正のうち最も大きな改正項目は、2007年より日本公認会計士協会(以下、協会)における自主規制として実施されてきた「上場会社監査事務所登録制度」を公認会計士法において法定化し、制度的な裏付けを与える点であろう。

その背景には、近年、監査人の交代事例が相次ぎ、とくに大手監査法人から中小規模監査事務所への交代数が一定割合に上っていることが挙げられる。公認会計士・監査審査会の「令和3年版モニタリングレポート」によれば、2020年と2021年にはそれぞれ、大手監査法人が58社減、124社減のところ、中小規模監査事務所は40社増、92社増となっている。すなわち、中小規模監査事務所が上場会社の監査の担い手として大きな役割を占めるようになってきたといえる。同時に、その監査の品質の確保が重要な課題として認識され、監査事務所の登録制度を通じて監査事務所における体制整備を促進することが企図されたものと解される。

同制度の実際の運用は、法改正...