JICPA スタンダードとグロース市場で不正増加

「会計不正の動向(2023年版)」を公表
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2023年3月期において34社が会計不正の事実を公表し、スタンダードとグロース市場で増加――。日本公認会計士協会(JICPA、茂木哲也会長)は7月28日に「上場会社等における会計不正の動向(2023年版)」を公表し、不正の類型や手口などの傾向を示した。粉飾決算の割合が75.0%を占め、収益関連の不正が例年同様に目立つ。内部通報により不正が発覚するケースも増えたようだ。

粉飾決算と資産の流用に分類

「会計不正の動向」はJICPAの経営研究調査会が取りまとめた研究資料。上場会社等が公表した会計不正を集計し、2018年以降毎年公表している。会計不正の実態・動向を正確に捉え、監査や不正調査に関与する公認会計士等の参考になることを目的としている。集計対象は上場会社等が適時開示した事例であり、公表に至った会計不正は投資家の視点から定量・定性的に重要だと言える。

同資料では、会計不正の類型を主に「粉飾決算」と「資産の流用」に分類。粉飾決算は、経営者等が利益調整を目的に行う可能性があり、会社業績を増加させたい欲求などが原因となるケースがあるという。資産の流用は、いわゆる横領などが該当。会社の従業員により行わ...