証券監視委 重要事象等の不記載で初の課徴金勧告事例

2022事務年度の開示検査事例集を公表
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証券取引等監視委員会(証券監視委、中原亮一委員長)は8月31日、2022(令和4)事務年度の「開示検査事例集」を公表した。同年度において開示検査を終了した9件のうち、虚偽記載等が認められた4件に課徴金納付命令勧告を行った。売上の過大計上といった不適正な会計処理による虚偽記載の事例があったほか、有価証券報告書の「事業等のリスク」で重要事象等が不記載だったとして、初めて勧告を行った事例もあった。

売上の架空・過大計上

証券監視委は金商法の規定に基づいて開示検査を実施し、投資判断に影響を及ぼすような開示規制違反が認められた場合は課徴金納付命令勧告を行う。「開示検査事例集」では直近1年間に勧告を行った事例を掲載し、その背景や原因などを紹介している。

2022年7月から2023年6月においては18件の開示検査を実施し、9件が終了した。このうち開示書類における重要な事項についての虚偽記載が認められた4件について課徴金納付命令勧告を行っている。うち1件は上場廃止となった。なお、前年度と比べると勧告を行った件数は4件減った。

4件の課徴金納付命令勧告のうち、特徴的な事案とされたのは以下の2つだ。

①商品売買を仮...