トピックスプラス 非上場新株予約権は「時価評価」の対象

転換前と転換後の取扱いの違いに注意
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非上場会社が発行する新株予約権の取扱いに誤解が生じやすいとの指摘がある( No.3617・18頁 )。理由は転換前と転換後の取扱いの違いにある。転換後の非上場株式は「取得原価」で評価するが、転換前の新株予約権は「時価評価」が必要となる。しかし、本誌が上場会社の提出した有価証券報告書を確認したところ、非上場会社の新株予約権を市場価格のない株式等に含め、時価評価していないと見られる事例があった。

市場価格のない株式等の概要

2019年7月に公表された企業会計基準30号「 時価の算定に関する会計基準 」等は、2021年4月1日以後開始年度の期首から適用されている。時価算定会計基準では、時価のレベルに関する概念を取り入れ、「たとえ観察可能なインプットを入手できない場合であっても、入手できる最良の情報に基づく観察できないインプットを用いて時価を算定する」こととしている。

このような時価の考え方の下では、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券は想定されないため、金融商品会計基準における「時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券」の定めが削除された。

ただし、「市場価格のない株式等」(市場で取...