<INTERVIEW>国際会計士倫理基準審議会(IESBA)議長 ガブリエラ・フィゲイレード・ディアス~サステナビリティプロジェクトへの取組みと現状の課題~

( 08頁)
IESBA 議長 Gabriela Figueiredo Dias


非財務情報の開示や保証の機運が高まる中、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)は現在、サステナビリティに関する倫理・独立性基準の開発を進めている。同基準については、適用範囲を職業会計士ではない人たち(Non-PA)にも広げるとされており、サステナビリティ保証に携わる関係者への理解が不可欠となっている。本誌は、8月上旬に来日したガブリエラ・フィゲイレード・ディアス議長にインタビューを実施。基準開発の動向や課題、日本関係者へのメッセージなどを聞いた。

1.日本には倫理が根付いている

―今回の来日では、様々な関係者との意見交換やアウトリーチを行ったかと思います。日本での滞在の成果や印象などをお聞かせください。

今回、日本公認会計士協会(JICPA)をはじめ、金融庁や日本取引所グループ、日本経済団体連合会、日本証券アナリスト協会など、広範囲な関係者との意見交換ができました。我々からは現在進行中のサステナビリティに関するプロジェクトについてお話しし、日本の関係者の皆さんからの洞察に富んだ有用な情報や意見をいただきました。

―特に印象的だったのはどのような点でしょうか。

大きく分けて3つの点が印象的でした。

1つ目は、サステナビリティプロジェクトの範囲に関することです。同プロジェクトでは、我々の倫理規程・独立性基準の適用範囲をNon-PAにも広げることを計画していますが、日本の関係者との対話では、ほぼすべての方がこの点に言及していました。そのことからは、日本における注目度の高さがうかがえました。

2つ目は、サステナビリティ情報の開示(報告)に対する関心の高さです。我々はこれまで、世界中の関係者と対話してきましたが、彼らはどちらかと言えば情報開示よりは保証の方に関心を有していました。ところが日本では開示についての関心も高く、これは新たな発見でした。

3つ目は、倫理に関する風土や雰囲気です。世界中の関係者と比べると、日本の関係者はもともと、倫理の重要性を理解していると感じました。既に様々な制度に倫理の考え方が組み込まれている点も印象的でした。

2.政府などの動きも活発に

―サステナビリティ情報開示とその保証に関する機運の高まりをどう見ていますか。

まず申し上げたいことは、もはや「サステナビリティ」は単なる流行り言葉ではなく、社会全体におい...